網膜色素変性(もうまくしきそへんせいしょう)とは

網膜色素変性とは、網膜の神経細胞が徐々に死んでいくことにより変性萎縮に陥り、その後に黒い色素が沈着してくる病気です。
最初に障害が起こる神経細胞は視細胞、中でも暗い所ではたらく杆体細胞です。

色々な病型があるため、発症の時期、症状、進み方などに広い幅があり、人によって様々です。日本では、3,000〜8,000人に1人くらいの割合で発症すると考えられています。

遺伝子の異常で起こる病気です。

網膜色素変性の症状

特徴的な症状は、夜盲、視野狭窄、視力低下の3つです。
多くの場合、最初に自覚する症状は夜です。日が暮れると良く見えない、暗い所に急に入ると全く見えない、時間が経ってもほかの人のようには見えてこない…などです。逆に、明るい所で眩しいという症状もあります。
視野狭窄が進むと、歩く時や自転車に乗った時に足元がわかりにくかったり、横から出てくる人や車に気づきにくくなったりします。
視力は長期間正常に保たれることもありますし、早期に低下することもあります。白内障を合併することも多く、その場合はかすみ感が現れます。

基本的には進行性の病気ですが、その進行はとても緩やかで、数年あるいは数十年をかけて進行します。また病状の進行速度には個人差がみられ、症状の起こる順序にも個人差があり、最初に視力が低下してから夜盲を自覚する人もいます。

網膜色素変性の治療

網膜色素変性に対しては、現在のところ残念ながら根本的な治療法がありません。

根本治療はできませんが、症状に応じて対策を考えることは重要です。羞明には遮光眼鏡の装用、残されている視機能を有効に活用するには弱視眼鏡、拡大読書器などが有用です。
また、白内障を合併している場合には、白内障手術・眼内レンズ挿入が効果的です。