斜視とは

「両眼が同じ方向を向いていない状態が常時続いている状態」や「両眼が同じ方向を向いていることもあるが、時に自分の意思に反して同じ方向にならなくなる状態」、両目の視線が、目標物にまっすぐに向かない状態を斜視と呼んでいます。子供の斜視には、大人になれば治る偽内斜視が多いです。

斜視の症状

一番多いのは、見た目が悪いと気になさるケース。
二重に見える(複視)。眼が大きくずれていると、片方の眼の見えを頭の中でうまいこと消してしまう作用(抑制といいます)が起きます。
そのため、大きくずれている人は逆に大丈夫なことが多いのですが、少しだけずれている人は抑制がかからず、複視が発生する場合があります。

斜視の治療

斜視の治療は、基本は手術です。費用は、動かす筋肉の数などにもよります。日帰りの手術もありますが、
手術の晩に痛みが出ることもありますから、入院を勧められた場合は入院した方が良いでしょう。

眼には6つの筋肉がついています。特殊型を除き、6つの筋肉の中で基本的となる、
上下内外に動かす4つの筋肉(上直筋、下直筋、内直筋、外直筋)を手術で操作して、眼の方向を変えます。

手術法

短縮法

筋肉を切って縮めることによって、眼を動かす方法。例えば、内直筋を短縮すると、内側に動きます。

後転法

筋肉を付着部で外し、今までの付着部よりも後ろ側、
すなわち、筋肉を緩める方向に付け替えることによって、眼を動かす方法。例えば、内直筋を後転すると、外側に動きます。

短縮と後転の併用

例えば内直筋を短縮し、外直筋を後転することによって、より大きく内側に動かすことができます。

子供の斜視

眼位(黒目の位置)は生後3?6カ月でほぼ安定し、両眼視(両目で目標物を見ること)は、6才までにほぼ完成するので、斜視のほとんどが3?4才くらいまでに見つかります。
斜視のために片方の目の位置がずれている場合は、ずれているほうの視力は発達せずに弱視になることもありますし、逆に片方だけ極端に視力が悪いと、その目が使われないために、斜視になることもあります。いつも斜視の状態にあると、弱視の心配のほかに、両目で物を同時に見て、遠近感や立体感をつかむ両眼視機能の発達障害が気になります。

斜視の種類は、目が寄っている方向として、内斜視、外斜視、上下斜視などがあります。また、斜視には網膜芽細胞腫や視神経萎縮など、重大な病気が隠れている場合があります。少しでもおかしいと感じたら専門医を受診したほうがいいでしょう。
斜視のタイプによって治療の仕方が違ってきます

偽内斜視

偽内斜視の赤ちゃんは、目と目が離れていますし、黒目の内側の白目も見えにくかったりします。そのため、なんとなく斜視に見えることがあります。また目と目の間、つまり鼻の上の部分の肉が厚いと、横を見たときに黒目が内側に入りすぎているように見えることもあります。これは偽内斜視と呼ばれるもので、赤ちゃんに多いケースです。「斜視かもしれない」と小児科で疑われ専門医にみてもらうと、この偽内斜視ということがあります。これは成長に従って気にならなくなりますし、目の機能にはなんの影響もありません。

内斜視

黒目が内側に寄っているものは、俗に「寄り目」といいますが、正確には内斜視といいます。内斜視には生まれつきのものと、遠視が強いために、物をよく見ようとして、目が内側に寄ってしまうものとがあります。遠視が原因のものを「調節性内斜視」といい、遠視を眼鏡で矯正することで、斜視も矯正できます。一方、遠視がない場合、または眼鏡をかけても位置が真っすぐにならない場合は、手術で治します。

外斜視

黒目が外側に向いている状態が外斜視。いつもは目の位置は真っすぐなのに、遠くを見るときや、ぼんやりしているとき、寝起きなどに片目が外側にずれる場合が多く、これを間歇性外斜視といいます。ふだんは目の位置が問題ないので、視力や両眼視機能は正常に発達することが多く、急いで手術の必要はありません。特に目立つようなら、小学校入学前に手術をします。このほか、外斜視で手術が必要なのは、いつも位置がずれている場合です。

上下斜

視片目は正面を向いているのに、もう片方の目は上か下にずれている場合で、常にズレがある場合は、早めに手術をして治します。